美味しい「あまおう」の選び方!特徴・名前の由来・歴史まで解説
いちごの「あまおう」。
名前にインパクトがある、非常にポピュラーな苺ですよね。
今回は人気のブランド苺「あまおう」の”知っておきたいあれこれ!”を
「あまおう」との付き合いの長い、
石川県金沢市の老舗八百屋「堀他(ほりた)」がご紹介します。
前半では「あまおう」とは?
産地・歴史・名の由来・味の特徴を詳しくご紹介。
後半では、美味しい「あまおう」の選び方を解説しています。
あまり知られていないお得情報も満載です!
これを機に「あまおう」について詳しく知って、
今が旬の美味しい「あまおう」を楽しみましょう。
「あまおう」とは
「あまおう」は、福岡県のブランドいちご
「あまおう」とは、福岡県農業試験場が1996年に開発した
福岡県のブランド苺です。
収穫量に優れた品種「とちおとめ」に対抗して作られた苺で
今では「とちおとめ」(栃木県)と「あまおう」(福岡県)が
「東西の両横綱」といわれています。
2018年の県別いちご収穫量ランキングでも、
1位は「とちおとめ」の栃木県で、「あまおう」の福岡県は2位。
こちらでも同様に競い合っています。
「あまおう」は福岡県を代表するブランド苺なのです。
「あまおう」の特徴
「あまおう」の母は、「とよのか」と「てるのか」を
かけ合わせてできた「久留米53号」。
食味が優れる点が特徴です。
父は、「女峰」「とよのか」をかけ合わせてできた
「久留米49号」と、それとさらに「さちのか」とを
掛け合わせてできた、「92-46」。
大きな実と強い甘味が特徴です。
両者を交配して誕生した「あまおう」は、
大きく形の良い果実、濃赤色でツヤのある果皮、
食味に優れるという特徴があります。
「あまおう」の歴史
「あまおう」の始まりは福岡県「とよのか」いちご
福岡県での苺の栽培は、1920年代後半から始まりました。
品種改良を重ねる中で、1973年に福岡県野菜試験場久留米支場が
新品種「とよのか」を開発。
「ひみこ」と「はるのか」を交配してでき「とよのか」は、
大粒で香りが強く、適度な酸味と強い甘味が特徴。
その圧倒的な美味しさが評判を呼び、
福岡県は苺の生産地として一気に飛躍することになりました。
「あまおう」開発の背景
「とよのか」には、2つの弱点がありました。
それは「果実の着色の悪さ」と、
「低温下での矮化(果実が小ぶりのまま成長すること)」です。
「とよのか」は果実の色素含有量が少なく、
濃い赤色に着色させるためには、果実に太陽の光が当たるよう
「葉よけ」や「玉だし」など、手間のかかる作業を行う必要がありました。
また「とよのか」は寒さに弱く、
1〜2月の気温が低くなる時期には、
着色・大きさが未熟なまま成熟してしまい、
見た目が悪くなってしまうという弱点がありました。
「さちのか」や「とちおとめ」といった、着色の良い品種が登場すると
「とよのか」は次第に影をひそめるようになります。
福岡県農業総合試験場はこれに対抗すべく、
「果実の着色が良い」「寒さに強い」「大粒」
「実がしっかりとしている」「糖度の高い」いちごの開発を始めました。
「あまおう」の誕生
福岡県農業総合試験場による5年にわたる試行錯誤を経て、
1999年「あまおう」は誕生します。
2001年11月には「福岡S6号」として品種登録が申請され、
2005年1月に登録が完了されました。
「あまおう」は、「果実の着色」「低温化での矮化」といった
「とよのか」であげられていた弱点が改善されています。
厳寒期でも赤く色づきますし、形も大きく、整っています。
福岡農業総合試験場(http://www.tokugikon.jp/gikonshi/256/256tokusyu06.pdf)によると
あまおうの大きさは、以下のようにも述べられています。
“果実の大きさは「とよのか」より大きく、果実一つの重さの平均が「とよのか」の1.2倍程度”
“重さが20g以上の果実の割合が「とよのか」では 19%であるのに対し、「あまおう」では35%”
重さが20g以上の大粒の個体が採れる割合は、
「とのよか」に比べると1.84倍、平均的な果実の重さは1.2倍と、
安定的に商品価値の高い大きな苺が採取できるようになりました。
「あまおう」の味
「とよのか」と比較すると、糖度の高さは同程度か、やや高め。
酸味は強く、高い香りと濃厚な味わいが楽しめます。
「あまおう」の産地
あまおうの産地は、福岡県です。
市町村別でみると、京築地区(行橋市・豊前市・京都郡・築上郡)の「あまおう」は、
品質の良い「あまおう」を生産する地域として特に有名です。
福岡県以外で「あまおう」は生産されない
福岡県農業試験場によると、
"あまおうの苗の販売は、福岡県内の生産者のみに限定されている"
"「福岡S6号(あまおう)」を
福岡県のブランド品種として振興するにあたり、
この品種を栽培・販売できるのは福岡県内の生産者だけに
限定することとしました。”
とあります。
また、栽培を県内に限定した理由は、以下のようにも述べられています。
”県内農家の利益と産地競争力を確保することもありますが、
品質の良い果実を生産し、ブランド力を高めるためには
栽培管理の指導が 行き届く県内に限定することが良いと考えられたからです。”
つまり、「あまおう」はブランド価値の向上と品質保持のため
福岡県内でしか栽培されず、福岡県以外では生産されないことを意味します。
「あまおう」を守る
「あまおう」は、JA全農ふくれん(福岡県)により、
「福岡S6号」/開発者「福岡県」として平成17年(2005年)に
種苗法に基づいて品種登録がなされました。
これにより、苗は開発者「福岡県」から入手することになるのですが、
県は「JA全農ふくれん(福岡市)」と生産・販売に関する契約を締結しています。
「JA全農ふくれん(福岡市)」は、福岡県内のJAに苗を卸し、
県内の農家へのみ販売を行えるよう、
県と共に「あまおう」販売ルートづくりに取り組んでいます。
この仕組みにより「あまおう」は、
福岡県以外の生産者の手に渡ることがなくなりました。
種苗法によると、開発者の知的財産権(育成者権)は、
登録後30年間にわたり保護されることになります。
つまり「あまおう」は育成者権が失効する2025年までは、
福岡県以外で生産されることはありません。
「あまおう」の名の由来
「あまおう」と聞いて、「甘(あま)いイチゴの王(おう)様」と
連想してしまったことはないでしょうか?
実は「あまおう」の名の由来は、「甘王」でありません。
「あまおう」という名前は、以下の4つのワードの
頭文字の組み合わせから名付けられました。
- 「あ」 ・・・ 赤い
- 「ま」 ・・・ 丸い
- 「お」 ・・・ 大きい
- 「う」 ・・・ うまい
決して「甘(あま)いイチゴの王(おう)様」という意味で
命名されたわけではないのですね。
実際のところ、甘さの基準である糖度は、「あまおう」は平均9.6度。
対する「とちおとめ」は9~10度です。
もっと甘い苺も少なからず存在します。
このことからも「あまおう」の甘さが、
それほど突き抜けたものではないことが分かります。
八百屋的視点で見ると「あまおう」の味わいの個性は
「甘さ」よりもむしろ「濃厚さ」にあると思います。
もちろん甘さやジューシーさも強くはあるのですが、
他の品種と比較すると最も特徴的なのは濃厚さです。
美味しい「あまおう」の選び方
さて、「あまおう」の基本を押さえたところで、
次は「あまおう」の大きさによる違い、
美味しい「あまおう」の選び方をご紹介します。
「あまおう」は形や大きさによって、味わいが違う!
「あまおう」の形と大きさは、写真のように、大まかに3種類に分かれます。
- 小粒の「あまおう」(写真 左下)
- 大粒の「あまおう」(写真 真ん中)
- 巨大な「あまおう」(写真 右上)
小粒なものは、パクッと食べられる、かわいいサイズ。
真ん中の大粒なものは、一口で食べられるぎりぎりの大きさでしょうか。
右上はもう、巨大ですね。
とても一口では無理なので、切り分けて食べることになります。
では、はたして大きさによる味の違いは?
甘味・酸味の観点から実際に「あまおう」を食べ比べ
検証を行ってみました。
小粒は酸味が強めで、大粒はムラがある
- 小粒のあまおうは、濃厚さに加えて、平均してもっとも酸味がありました。
- 大粒のあまおうは、濃厚さ、甘さ、酸味のバランスが一番とれていると感じました。
- 巨大なあまおうは、酸味が薄く、甘さが素直に感じられました。また、どこを食べるかによって甘さにムラがありました。
まとめると、
「あまおう」は、小さいほど酸味が強く、
大きいほど酸味が薄れ、食べる場所によって味わいにムラが生じている。
これが、今回食べ比べてみて私が感じたことです。
実は今回のこの結果、「あまおう」に限ったものではなく、
一般的に流通している苺全体に当てはまる傾向なのです。
もちろん例外はありますが、「あまおう」の場合は
形や大きさの差が大きいので、その差もはっきり表れるようです。
おいしい「あまおう」は〇〇を見れば分かる
さらに、絶対に知っておいた方がよい知識をさらに一つ。
より美味しい「あまおう」の選び方です。
問題です。
下の写真の、二つの「あまおう」、どちらが甘いでしょう。
答えは、右です!
着眼点を知っていれば、かんたんです。
写真の、白丸で囲んだ部分に着目。
種の無いスペースが、ヘタの付け根に広がっています。
このスペースが広いのが、おいしい「あまおう」です。
ヘタの付け根で判断するのも、実はイチゴ全体に通用する見分け方。
しかし品種によって、それがわかりにくいものも多くあります。
その点「あまおう」は、このポイントにはっきり違いが表れるので、
見分けやすいんですね。
いちご売り場に行ったら、ぜひチェックしてみましょう。
見るべきポイント
その違いを見つけたら、次の2点も確認しましょう。
1.表面のつや
2.ヘタの反り具合
1.表面のつやは鮮度を表します。
てかり具合が良いものを選びましょう。
2.ヘタの反り具合は、鮮度と甘さ、両方を教えてくれます。
鮮度がよいとヘタは反ります。
また、いちごは美味しく育つと同時にヘタの付け根がもりあがり、
同時にヘタも上に反りかえる傾向があります。
写真の「あまおう」も、立派に反りあがっていますね。
これらの条件をさらに満たしていたら、
より甘い「あまおう」である確率がさらに高くなります。
あまおうは、ヘタの付け根、表面のつや、ヘタの反り具合を見よ!
美味しい「あまおう」の選び方、わかりましたか?
この知識、イチオシです!
「あまおう」をフルーツギフトに!
「あまおう」は、ギフトに向いています。
万人受けする上に、華もあります。
長年季節のギフトに携わってきましたが、
フルーツの詰め合わせに鮮やかな赤色をプラスしてくれる「あまおう」は
八百屋目線から見てもギフトにぴったりのイチオシの果物です。
ギフトに用いる際の注意点
いちごは傷みやすいフルーツです。
傷があるとそこから一気に傷みが進んでしまいます。
ギフトとして用いる際には贈る相手に失礼がないよう
傷がないか、細心の注意を払って見極める必要があります。
「あまおう」をフルーツギフトとして用いるには
正しい知識が必要なのです。
「あまおう」通販は「堀他」で
私たち「堀他(ほりた)」では、
老舗八百屋ならではの目利きを活かし
新鮮さと糖度にこだわった「あまおう」を店頭及び通販にて
販売しています。
公式オンラインショップにて販売中です。
「堀他」公式オンラインショップはこちらから
正しい知識を持ち、しっかりと品質をチェックすれば
「あまおう」はあなたの想いを届けてくれる、素敵なフルーツになります。
フルーツギフトをお考えの方はぜひ、石川県金沢市にある
老舗八百屋「堀他(ほりた)」を活用してみませんか。
「あまおう」まとめ
- 「あまおう」は、濃厚な味わいが特徴の、福岡県のブランドいちごです。
- 小粒なものほど酸味が強く、大きくなるにつれ酸味が弱まり、大きなものほど甘さにムラが生じやすい傾向があります。
- 美味しい「あまおう」の選び方のポイントは、ヘタの付け根です。
- 「あまおう」の鮮やかさはフルーツセットの華にもなれるので、ギフトにもとても向いているフルーツです。
ご家庭で味わうもよし、贈答用として贈るもよし。
以上のポイントを押さえて、旬の美味しい「あまおう」を楽しんでみてくださいね。