石川県奥能登の「能登くり」は、しっとりクリーミーで個性的な風味!
能登くりをご存知ですか?
石川県の奥能登でとれる、風味豊かな栗です。
収穫量が少なく全国的に流通しないので知名度はあまりありませんが、栗の好きな人なら知っておくべき、個性的な味わいがあります。
今回は、そんな能登くりの魅力を、他県の栗と食べ比べつつ、その魅力をお伝えします。
能登くりとは?
奥能登の風土が生んだ、奥能登の能登くり
「能登くり」とは、輪島市と珠洲市、穴水町、能登町で栽培される栗です。
昭和40年代の国営パイロット開拓事業によって、産地化されました。
9月~10月にかけて収穫され、金沢や関西方面に出荷されます。
近年は、スイーツや特産品にも用いられ、少しずつ知名度も上がっています。
ミネラル分が豊富な能登赤土が育む、能登くり
能登の大地で育つ能登くりの奥深い味と風味、それにはちゃんと根拠があります。
能登半島は、かつて海底であったときに、地中にミネラル分を多く含みました。
三方を海に囲まれる現在でも、海から吹く潮風がさらに鉄分やカルシウムを運び、とても豊かな土壌をしています。
さらに、奥能登特有の水持ちの良い能登赤土が、今も様々な農作物に独特の風味をもたらします。
全国の栗の生産量と、能登くり
日本全国の、栗の収穫量トップ3は以下の通り。
1位 茨城県
2位 熊本県
3位 愛媛県
画像の右下が茨城県産、左下が熊本県産、上が能登くりです。
外見的にはほとんど同じですね。
正確な数字は年度にも左右されますが、茨城県は毎年およそ4000t、熊本県は3000t、
愛媛県は2000tと、この3県のみが毎年4桁を記録します。
4位の岐阜県、5位の埼玉県と続き、これら5県で日本全国の6割の生産量を占めます。
では石川県は?
順位は年度によって15位~30位あたりで推移し、ばらつきがあります。
生産量は100トン前後。全国の1パーセントにも満たない数字です。
これらのデータが占める通り、能登くりは全国的に流通せず、知名度が低いのも納得できます。
能登くりを、栗ご飯、焼き栗、甘露煮で比べてみた
能登くりの味わいを、他県の栗と比較してみました。
比較対象は、全国1位の生産量を誇る茨城県と、全国2位の熊本県の栗。双方とも全国的のスーパーに並ぶ、なじみのある味です。
調理法は、じっくり加熱する「栗ご飯」、さっと加熱する「焼き栗」、じっくり加熱し味付けもする「甘露煮」の3通りです。
食べ比べ ① 「栗ご飯」
画像の右下が茨城県産、左下が熊本県産、上が能登くりを使用したそれぞれの栗ご飯です。
栗はさつまいもと同じで、じっくり時間をかけて加熱すると甘さが引き出されます。
そんな食べ方の代表が「栗ご飯」と言えます。
最も甘かった、栗ご飯とは
もっとも甘かったのは、茨城県産の栗ご飯です。
味わいはとても甘く、口に入れて噛んだ瞬間に「甘い!」と感じられました。反面、風味
はそれほど強くありませんでした。食感はホクホクしていました。
風味が豊かな、栗ご飯は
風味が豊かな栗ご飯は、熊本県産の栗ご飯です。
風味が強く感じられました。
とても栗らしく、どこか懐かしい香りがしました。甘さは他の2つに比べて弱めでした。
食感はホクホクとしっとりの中間くらいでした。
しっとりしてクリーミーな、能登くりの栗ご飯
クリーミーさ、しっとり食感、奥深い風味がとても個性的でした。噛むほどに味わいが深
くなるような変化は能登くりだけでした。甘さは茨城県産と熊本県産の間くらいに感じま
した。
食べ比べ ② 「焼き栗」
画像の左から、熊本県産、能登くり、茨城県産です。
栗はじっくり時間をかけて加熱して甘さを出します。では、短時間の過熱でならどうなる
か?そための焼き栗での比較です。表と裏を15分~20分かけて焼きました。意外な結果と
なりました。
甘さも風味もおとなしい栗
茨城県産の栗は焼き栗の中で1番甘かったですが、
栗ご飯の時ほどではありませんでした。
風味は弱く、全体的にいまいち物足りないと感じました。
栗らしい風味が美味しかった栗
熊本県産特有の風味が、しっかり香ばしく感じられました。甘さは控えめでしたが、その
風味に、食べて一番満足感が得られました。
全体的にあっさり、能登くり
栗ご飯の時に感じた独特のクリーミーさ、奥深い風味はほとんど感じられず。
しっとり感はあったものの、甘さも控えめ。あまりお勧めできない味わいでした。
食べ比べ ③ 「甘露煮」
長時間加熱し、さらに甘さも加えた料理ならどうなるでしょうか。
そのための「栗の甘露煮」での比較です。
画像の右下が茨城県産、左下が熊本県産、上が能登くりです。
甘さ、風味ともに三者三様
栗ご飯、焼き栗のときは味わいに差がありました。
しかし、しっかり味付けをする甘露煮になると、それも同じくらいの甘さになり、
あとは風味など、どれを好むかという個人の問題になりと感じました。
そんな中、能登くりだけは、口の中であとから広がる風味がここでも感じられました。
3つの比較のまとめ
それぞれの栗には向き不向きがあり、持ち味もそれぞれでした。
どの栗も基本的に美味しいのですが、同じ調理法で3つ同時に食べ比べると、
ずいぶんと差があることがわかります。
この比較が参考になればと思います。
能登栗の今
では現在、能登くりは石川県ではどのような扱いなのでしょうか。今からそれを紹介します。
石川県内でも実は知名度が低い
実は、能登くりは石川県内でもそれほど有名ではありません。
金沢市内のスーパーで見かけるのは、やはり茨城県産や熊本県産など、他県の大産地の栗です。
能登くりもあるにはありますが、どうしても量は少な目です。
流通量の少ない能登くりですが、最近ではインターネットでおとりよせもできるようになって
全国の栗好きの方も入手できるようになってきました。
プロの料理人からの需要も、それほどあるわけではない
堀他の店舗の中で、堀他近江町店だけが、プロの料理人をメインのお客様とします。
その店長が言いうには「特別に能登くりを指定されることはないし、こちらも強く推すこもない」と言います。
甘露煮の比較でもそうでしたが、味付けをするとそれぞれの個性が薄れるようでしたので、そういったことが背景にあるのかもしれません。
一般客には、リピーターが多い
主婦などの一般的なお客様が多い堀他香林坊大和店では、能登くりは大人気で、リピーターもたくさんおられます。
また、インターネット通販でも、ワンシーズンに2~3度購入される方や、
次のシーズンに「いつから販売開始ですか?」とのお問い合わせされる方も、過去に少なからずいました。
能登くりの個性的な味わいがそうさせているようです。
能登くりは、本当に個性的な栗だった
能登くりは、栗好きの方にはとてもおすすめです。
今回の比較を通して、能登くりの個性がとても際立ちました。
一概に優劣をつけることはできません。
それぞれの栗に向き不向きがあり、個人の好みの問題もあります。
それでも、能登くりのクリーミーさ、しっとり加減、奥深い風味などは、
栗の中でも珍しい個性なのではないか、そう言い切ることもできると感じました。
まとめ
石川県の奥能登でとれる能登くりは、ミネラルが豊富で豊かな土壌で育ちます。
しかし生産量は多くなく、石川県内でもそんなに流通しません。
しかし、一度食べるとリピーターもなる方それなりに多い栗です。
能登くりは、クリーミーさ、しっとり食感、奥深い風味が特徴的で、とても個性的な栗です。
能登くりの購入方法
能登くりは、堀他香林坊大和店にて販売中です。
問い合わせ:076-220-1146
※お電話いただいても、品切れの場合がございます。
※時期によっては能登くりの在庫がない場合がございます。